徘徊の旅の中で巡り合った名所や史跡などの「場所」を文書と写真と地図を使って保存するブログ

JR稲荷駅ランプ小屋



JR稲荷駅ランプ小屋 (じぇいあーる いなりえき らんぷごや)  2008/05/10訪問

Overview

This article documents a visit to the historic “Lamp Hut” at JR Inari Station on May 10, 2008. Built in 1879, this red-brick structure is the oldest surviving lamp storage facility in Japan, used to store flammable oils for train and station lamps before electricity became widespread. The report highlights a fascinating historical fact: Inari Station was originally part of the Tokaido Main Line (the former Otsu Line) before the route was realigned in 1921. Designated as a Registered Tangible Cultural Property, this small but sturdy building serves as a silent witness to the dawn of Japanese railways, preserving the industrial heritage of a time when trains ran through Yamashina to Lake Biwa.

概要

本稿は2008年05月10日に、JR稲荷駅構内に現存する「ランプ小屋」を訪問した際の記録です。この赤レンガ造りの小建築は、明治12年(1879年)に建設された日本最古のランプ庫(危険物倉庫)であり、電化以前の鉄道を支えた貴重な産業遺産です。かつてこの駅が奈良線ではなく、東海道本線の主要ルート(旧大津線)の一部であったという驚きの変遷を紐解きつつ、準鉄道記念物および国登録有形文化財としての価値を解説しています。鉄道黎明期の面影を今に伝える煉瓦の肌触りと、山科・大谷へと続いていた旧路線の歴史的背景を格調高く記述しております。

画像
JR稲荷駅ランプ小屋

 伏見稲荷大社の表参道から伏見街道に出ると目の前に朱の柱に白壁、瓦葺屋根のJR稲荷駅が現れる。駅舎に沿って南に下ると小さな切妻屋根をのせた赤レンガの小屋がある。これがJR稲荷駅ランプ小屋。
 電気照明が普及するまでの間、鉄道の客車用や駅務・保線用のランプとその燃料を収納しておくために使用された危険物倉庫がランプ小屋である。そのため堅牢な煉瓦造りとなっていた。明治時代に建設された旧国鉄の主要駅には一般的に存在していたようだが、ランプの消滅と駅の増改築等により姿を消していった。
 JR稲荷駅ランプ小屋は明治12年(1879)築、現存している最古のランプ庫であり、1969年に準鉄道記念物(および登録有形文化財)に、そして2014年には「旧大津線稲荷駅ランプ小屋」として国の登録有形文化財に指定されている。古写真には倍程度の規模で写っていること、北側妻面だけがレンガ造でないことから現在の小屋は当初の建物の南側の一部分であると考えられている。
 内部には鉄道黎明期に使用されたランプなど数々の品々が展示されている。見学も可能であるが、事前(2日前)にJR宇治駅に予約を入れておくことが必要(2008年時点の情報)。

 ところで現在の稲荷駅には奈良線が乗り入れるのみであるが、大正時代までは東海道線の駅であった。日本で初めて新橋~横浜間での営業運転が開始されたのが明治5年(1872)のことである。そして関西では明治10年(1877)には京都~大阪~神戸間の営業運転が始まった。そして東海道本線とつなぐべき京都~大津間の工事が明治11年(1878)に着工、明治12年(1879)に京都~稲荷~山科(小野・勧修寺付近)~大谷間、そして翌明治13年(1880)に大谷~馬場(現在の膳所駅)~大津(後の浜大津駅)間が完成した。そして明治22年(1889)に新橋から神戸までの東海道線は開通する。これにより稲荷・大谷間も東海道本線に組み込まれることになった。つまりそれ以前が大津線であったことから登録有形文化財には、東海道本線開通以前の鉄道施設であることを明示するため「旧大津線」として登録されている。
 現在のJR奈良線が名神高速道路を越えるあたりから府道35号線に入り、そのまま名神高速道路に沿って東北に上っていくのが旧東海道線の路線であったらしい。しかし大正10年(1921)に新逢坂山トンネルが完成し、東海道線の路線が現在の状態になるとともに大谷駅、山科駅(初代)が廃止され、京都~稲荷間は奈良線に編入された。
”ユウ”さんのHPに旧東海道線の軌跡が説明されている。

「JR稲荷駅ランプ小屋」 の地図





JR稲荷駅ランプ小屋 のMarker List

No.名称所在地緯度経度
 JR稲荷駅ランプ小屋 京都市伏見区深草稲荷御前町34.9665 135.7708
  旧東海道線 京都駅
  旧東海道線 1
  旧東海道線 2
  旧東海道線 3
  旧東海道線 東福寺駅
  旧東海道線 4
  旧東海道線 5
  旧東海道線 6
  旧東海道線 稲荷駅
  旧東海道線 7
  旧東海道線 8
  旧東海道線 9
  旧東海道線 10
  旧東海道線 11
  旧東海道線 12
  旧東海道線 13
  旧東海道線 14
  旧東海道線 15
  旧東海道線 旧山科駅
  旧東海道線 16
  旧東海道線 17
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  旧東海道線 9
  旧東海道線 10
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