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萬福寺
本稿は2008年05月11日に、日本三禅宗の一つ、黄檗宗の大本山である「萬福寺(まんぷくじ)」を訪問した際の記録です。寛文元年(1661年)、中国福建省から渡来した隠元禅師によって開創されたこの寺院は、明朝末期の様式を色濃く残す牌楼(はいろう)形式の総門、布袋尊を祀る天王殿、チーク材を用いた大雄宝殿など、和様の寺院建築とは一線を画す異国情緒豊かな伽藍構成が特徴です。インゲンマメや普茶料理など、隠元禅師がもたらした当時の最新中国文化の影響を考察しつつ、魚の形をした法器「開梛(かいぱん)」や襷勾欄(たすきこうらん)といった細部の意匠、さらには龍の目に見立てた「龍目井」の伝説に至るまで、禅寺としての厳格さと大陸的な意匠が融合する独自の空間を格調高く記述しております。
放生院
本稿は2008年05月11日に、宇治橋の東詰に位置し、古くから橋の守護と管理を担ってきた真言律宗の寺院「放生院(ほうじょういん)」を訪問した際の記録です。聖徳太子の発願、秦河勝による建立という伝承から、大化2年(646年)の道登による宇治橋架橋、さらに鎌倉時代の叡尊による再興に至るまで、宇治川の水運と橋の安全に深く関わってきた歴史を紐解きます。特に、日本三古碑の一つに数えられる国重要文化財「宇治橋断碑(うじばしだんぴ)」の発見と復元の経緯、そして訪問時に目にしたブルーシートに包まれた痛々しくも神秘的な断碑の姿を中心に、宇治の精神的拠点としての寺院の佇まいを記述しております。
大黒寺
本稿は2008年05月10日に、「薩摩寺」の通称で知られる真言宗東寺派の「大黒寺(だいこくじ)」を訪問した際の記録です。島津家の祈願所として深い縁を持つこの寺院には、歴史の荒波に翻弄されながらも己の信念や「義」に殉じた人々が静かに眠っています。宝暦治水事件で多大な犠牲を出し責任を取った家老・平田靭負、伏見奉行の悪政を命懸けで直訴した「伏見義民」の七人、そして幕末の動乱期に寺田屋事件で命を落とした薩摩九烈士。一見静かな境内が、いかに重層的な歴史の悲劇と、それを語り継ごうとする人々の記憶を内包しているか、その精神的背景を格調高く記述しております。
長建寺
本稿は2008年05月10日に、伏見・中書島の地に鎮座する「辨財天長建寺」を訪問した際の記録です。濠川沿いに鮮やかな朱塗りの竜宮門を構えるこの寺院は、元禄12年(1699年)に伏見奉行・建部内匠頭(たけべたくみのかみ)によって創建されました。本尊の八臂辨財天(はっぴべんざいてん)を中心に、ヒンドゥー教の女神サラスヴァティーに遡る弁才天信仰の歴史や、神仏習合の変遷を紐解きます。かつて高瀬川の水運で賑わい、遊郭街として栄えた中書島の守護神としての役割や、現代の境内で遭遇した新選組や花魁姿の参拝客が醸し出す、伏見特有の歴史的な空間美を詳細に記述しております。
東福寺 塔頭
本稿は2008年05月10日に東福寺の塔頭(たっちゅう)寺院群を訪問した際の一括記録です。東福寺山内には25の塔頭と1つの特別由緒寺院が点在しており、本稿ではそれらを「北門周辺」「本堂周辺」「中門周辺」「南門周辺」の4つのエリアに分けて詳述しています。かつて京都五山の第5位を誇った「万寿寺」の数奇な変遷、重森三玲による近代名園を擁する「龍吟庵」や「光明院」、雪舟ゆかりの「芬陀院」、幕末の密議の舞台となった「即宗院」など、各寺院が持つ固有の歴史的背景、伝来の仏像、そして庭園の意匠について、広大な伽藍を網羅する形で格調高く記述しております。
東福寺
本稿は2008年05月10日に臨済宗東福寺派大本山・東福寺を訪問した時の訪問記です。九条道家により、東大寺の規模と興福寺の教化を兼ね備えるべく建立された本寺は、京都五山に数えられる屈指の大伽藍を誇ります。洗玉澗の深い渓谷に架かる臥雲橋や通天橋といった木造橋廊が織りなす空間は、平地の寺院とは一線を画す深山幽谷の趣を湛えています。相次ぐ火災の苦難を乗り越え、明治から昭和にかけて再建された本堂や庫裡は、禅宗様建築の粋を今に伝えており、本稿ではその歴史的背景と独自の景観について格調高く記述しております。
泉涌寺 塔頭
本稿は2008年05月10日に泉涌寺の塔頭を訪問した時の訪問記です。御寺・泉涌寺の山内に点在する九つの塔頭寺院を中心に、その歴史的変遷と魅力を概観します。伏見桃山から移転した即成院、丈六釈迦如来を本尊とする戒光寺、西国三十三所札所の今熊野観音寺、そして写経の道場として名高い雲龍院など、各寺院は応仁の乱や廃仏毀釈といった歴史の荒波を越え、皇室や時の権力者の庇護を受けつつ、独自の信仰を今日に伝えています。新春の七福神巡りでも知られるこれら諸堂の佇まいは、東山の静寂の中に、連綿と続く祈りの系譜を今に留めております。
泉涌寺
本稿は2008年05月10日に泉涌寺を訪問した時の訪問記です。新緑の候、京都駅から伏見街道を経て「御寺」と称される皇室ゆかりの聖地を訪ねました。月輪大師による宋風伽藍の造営から、歴代天皇の御葬儀を司る御香華院としての重厚な歴史を紐解き、明治天皇再建の霊明殿や京都御所から移築された御座所、そして名高き御座所庭園の静謐な美しさを、往時の情緒そのままに格調高く描写しております。


