柊家 その3
柊家(ひいらぎや)その3 2008/05/13訪問
Overview
This third installment of the Hiiragiya chronicle, dated May 13, 2008, focuses on the functional beauty and unique amenities of Room 32. The author examines the seamless integration of modern facilities within traditional Sukiya architecture, such as the washroom hidden behind a decorative alcove and the bathroom featuring a Japanese umbrella pine (maki) tub with exquisitely crafted wooden buckets. A highlight of the report is the “gourd-shaped remote controller”—a retro-modern device conceived in the 1960s by the fourth-generation proprietor. Combining a sense of humor with the philosophy that “being lazy while traveling is a joy in itself,” this device exemplifies Hiiragiya’s signature blend of timeless tradition and forward-thinking hospitality.
概要
本稿は2008年5月13日、京都の名旅館「柊家」での客室探訪の締めくくりとして、三十二号室の水回りと独自のサービス設備に焦点を当てた記録です。数寄屋建築の様式美を守りつつ、裏側に最新の洗面設備を隠した付書院の構造や、槙(まき)の湯船に「たる源」製と思われる極上の風呂桶を配した浴室の意匠を詳述。さらに、1960年代に四代目当主が考案したという伝説的な「瓢箪型リモコン」を取り上げ、伝統の中に潜む遊び心と、旅人の「ズボラ」さえも肯定する先進的なおもてなしの精神を考察しています。
床の間の左手には外光を取り込むための付書院の障子が設えてある。この障子の裏には洗面所が作られているため実際には外光は入らない。
ホテルでも使われている新しい洗面セットが置かれている。洗面台の上には各種のアメニティグッズが備えられ、シャンプーとトリートメントの説明書きも添えられている。確かに初めてのシャンプーを使用するのには抵抗感がある。そのような気持ちに対する配慮とともに、これもまたひとつのノベルティグッズとなっている。
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洗面所の左側の朱い曇りガラスの入った戸を開けると風呂場となっている。壁は大振りのタイル張り、天井は朱く塗られた板張りで湯船は槙を使用している。何気なく置かれていた腰掛と風呂桶であるが、撮影したときには風呂桶の裏側に入っていた銘に気が付かなかったが、使ってみると非常に軽くて掴みが良い。内縁が削られているためだろう。これが有名な桶の老舗・たる源のものだったのか。風呂場には窓が開けられており、ここから坪庭の石灯籠が良く見える。
洗面所の逆側には便所がある。こちらもウォシュレットとなっている。古い伝統を守りつつ、最新の快適性も取り入れている現れである。
主室に戻りテレビの置かれている場所を見ると見慣れない器具が置かれている。説明書を読むと客室用のリモートコントローラーであることが分かる。こちらの記憶は定かではないが、仲居さんの言うことに先代あるいは先々代の主が考案したものであるらしい。確かにホテルであればヘッドボードの近くにいろいろな機器の動作をコントロールできるものがある。試してみると確かにカーテンの開け閉めが出来た。説明書には
旅先でのズボラもまた楽しからずや
と記されている。なぜか瓢箪の形が今となってはレトロモダンな雰囲気を醸し出し面白い。
2026年4月時点での追記。この瓢箪型コントローラの発案者についての情報は、小学館の雑誌『サライ』の公式サイト内に掲載されている花人日和の2022年11月23日の記事にあった。六代目女将の西村明美氏が以下のように説明している。
この瓢箪リモコンは1960年代に祖父が考案したものです。祖母と縁があって柊家に入った祖父は、元々電気関係の仕事をしておりました。そうした経験から、先進的な感覚を持っていたのでしょうね。偶然、劇場を訪れた時、電気の力で緞帳(どんちょう)が上がる様子を見て、ひらめきが湧いたそうです。
訪問当時の女将だったので、どうやら「先々代の主(四代目当主)」が正解であったようだ。
























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